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災害時の歯科保健
災害が発生し、他律的な幼児期や学童期の子どもたちが被災時の避難場所での生活を余儀なくされた時、支援活動の一つの視点「災害時の歯科保健」が大切です。
- 被災者としての生活が長期化し、生活再建への期間が長くなると、次第に子どもにも目が届かなくなり、子どもは親以上に不安感が増してきます。この結果、子どもの生活習慣は著しく悪化する恐れがあります。
- 子どもはこころと身体が未分化であるため、その影響が身体の症状や行動の変化として現れることが多いです。
- 子どもに目を向け、子どもの気持ちを家族の一員の問題として(家族全体の問題として)捉え、<子どもが親に守られている、親と子どもとの絆を持つ><子どもの話をじっくり聞いてあげる、家族の支えがある><手伝いや役割を通じて、家族の一員であり自分が必要とされていると子ども自身が実感できる>ことが大切となります。また、このことは家族だけでなく学校や地域のなかでも同様です。
- 口腔清掃状況の変化は、地震直後の避難時には1日の歯みがき回数が減少し、口腔が不潔な状態になりやすいです。避難が長引くときは、特に子どもに対する口腔清掃指導が必要です。
- 災害の後は生活の再建に追われる家庭も多く、子どもに十分眼が届かず、子どもの間食内容や口腔清掃習慣に注意が届かなくなりがちです。また、子どもを連れて歯科受診することができないこともあるのです。
- 学校歯科医が、大規模災害時に行うべき対応としては、歯科医療支援活動の初期においては、担当園・学校の養護教諭ならびに関係教職員と速やかに情報交換し、避難所となった園・学校における歯科医療、保健に関わる問題点を抽出し、歯科医療支援活動対策本部と連携し、諸問題に対応することが重要だといえます。また、中長期的には幼児・児童生徒の食生活、生活習慣の乱れなどが問題化し、健康に影響を及ぼすことが予想されます。PTSDや心のケアとともに、食生活や口腔清掃習慣の回復につながる保健指導、健康相談が重要なのです。学校歯科医は、平時以上に担当園・学校の養護教諭ならびに関係教職員と連携し、情報、問題を共有できる体制づくりを行うことが急務といえましょう。
- 「幼児・児童生徒に対する巡回口腔ケア・口腔衛生指導」
- 幼児・児童生徒への声掛け・・・嫌がる場合には無理強いしないこと。その場に保護者がいる場合には、同意を得て行うこと。保護者に対しても口腔ケアの重要性を説明する。
- 支援物資である幼児・児童生徒用歯ブラシを手渡して、刷掃指導を行う。
- 汚れが著しい場合は、歯面清掃を行い、水でうがいをしてもらい、洗面器か膿盆に吐き出させる。なお、うがいで使用する水は持参したものを利用する。
- 口腔ケア記録用紙に、性別、年齢、ケア内容をチェックする。
- おやつのチェックシートを配布して、保護者の目を向けさせる。