学校安全

体育活動中の事故で、「歯の障害」は、小・中学校・高等学校等において約30%を占め、「眼の外傷」に次いで多いですが、高校2・3年生では最も高い発生状況です。さらに、発生部位は上の前歯が多く、「前歯で噛み切る」、「正しい発音をする」、「顔の表情」などに影響を与えます。また野球、サッカー、バスケットボール等の球技で多く発生しています。

学校安全、外傷予防・対応に
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災害共済給付制度歯牙欠損見舞金について

※詳細につきましては、独立行政法人日本スポーツ振興センターへご確認くださいますようお願いいたします。

学校安全教育

学校歯科医は、「学校保健計画及び学校安全計画の立案に参与すること(学校保健安全法施行規則第23条)とされており、学校安全における安全教育、安全管理に関わります。学校安全において、歯の破折は頻度の高い事故のため、学校歯科医との関りのある事項に挙げられています。

安全教育としては、各発達の段階における歯・口の健康づくりの上で、低年齢時には休憩時間中の衝突による外傷の予防が課題であり、年齢が上げるにつれ、スポーツ時の外傷が多くなります。それら予防の大切さを理解し、年齢に応じて予防方法の理解と実践を促していくことが大切です。
特に中学・高校生は激しいスポーツを行う可能性もあり、マウスガード等を用いた予防の知識を習得しておくとよいでしょう。

スポーツと学校歯科

著:安井利一先生
(日本学校歯科医会顧問・明海大学名誉教授)

子供の噛み合わせとスポーツの関係性

学校歯科医は、「学校保健計画及び学校安全計画の立案に参与すること(学校保健安全法施行規則第23条)とされており、学校安全における安全教育、安全管理に関わります。学校安全において、歯の破折は頻度の高い事故のため、学校歯科医との関りのある事項に挙げられています。
安全教育としては、各発達の段階における歯・口の健康づくりの上で、低年齢時には休憩時間中の衝突による外傷の予防が課題であり、年齢が上げるにつれ、スポーツ時の外傷が多くなります。それら予防の大切さを理解し、年齢に応じて予防方法の理解と実践を促していくことが大切です。
特に中学・高校生は激しいスポーツを行う可能性もあり、マウスガード等を用いた予防の知識を習得しておくとよいでしょう。
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子供の歯の外傷の状況

子供の歯や口の外傷発生状況を知るには、学校で発生した傷害に対して医療給付などを実施している独立行政法人日本スポーツ振興センターのデータを利用するのがよい。学校の管理下における児童生徒等の災害(負傷・疾病、障害、死亡)に対して災害共済給付(医療費、障害見舞金、死亡見舞金の支給)を行っており、統計データとしてはもっとも信頼できる。学校の管理下で発生する災害の中で、平成16年度~平成25年度の間に発生した体育活動(体育の授業、運動部活動、体育的行事等)における事故で、災害共済給付の障害見舞金(第1級~第14級)を給付した事例1998例を対象に分析した結果をみると平成25年度の歯の障害については19.0%となり、視力・眼球障害(25.0%)および外貌・露出部分の醜状障害(23.4%)に次ぐ高い値となった。歯の外傷は、身体の発育状態にしたがって件数が増加し、高等学校では件数が多くなっているのが特徴である。
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子供の歯の脱臼と救急対応

歯がすぽっと抜けて脱落した場合には、適切な処置により再植が可能になるので、慌てずに対応することが望まれる。脱臼した歯は可能な限り早く(30分以内)抜けた場所に戻すことが必要である。しかし、時間の経つのは早いので、見つけ次第、保健室に「歯の保存液」が準備していれば、保存液に直ちに入れるか、あるいは家などでは「冷たい牛乳」に入れるのが良い。こうすると、6時間くらいは余裕ができる。歯を再植するには歯根に付着している歯根膜と呼ばれる組織が大切である。したがって、歯に触れるときは歯冠を持つようにする。文部科学省学校歯科保健参考資料には図のように示されて、その後、歯科医院で処置をする。
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子供の歯の外傷の状況

マウスガードには、市販されている種類と歯科医院で作製する種類があり、以下の事に留意されたい。

  1. スポーツにより歯や口腔に外傷を受ける機会があり、場合によっては歯の喪失や顎骨の骨折あるいは軟組織の障害をもたらす可能性が常に存在すること。
  2. マウスガードを装着することで、その危険性を低下させることができること。
  3. マウスガードの装着により、嘔吐感、発音障害の発生することがあること。
  4. 発音障害は、サ行、タ行、ラ行などで発生するが、ある程度は調整できること。
  5. これらの違和感は、使用するなかで徐々に改善されること。
  6. むし歯や歯周病は装着前に治療を完了しておくこと。
  7. 定期的(1年に2回程度)にチェックをうけること。
  8. 使用頻度、発育途上にある年齢かどうかなどの要因で作り替える期間が異なること。

歯や噛み合わせは運動やスポーツに関わりを持っている。健康のため、記録のためと目的は違っていても、噛み合わせを保つことは、しっかり食べて身体をつくり、外傷を予防することの基本となる。

マウスガード作製費用の公的補助を行っている行政の紹介

文部科学省の「スポーツ基本計画」では、子供たちのスポーツにおける外傷予防のためにマウスガードの着用の効果等の普及啓発について取り上げています。しかし、歯科医療制度では、マウスガードは自由診療扱いとなっています。こうした中、マウスガード作製費用の一部を補助している地方公共団体がございますので、ご紹介いたします。

学校安全教育調査研究委員会の事業
2021/2022について
~スポーツ歯科に
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普及・周知」~についてはこちら
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